フーテン語録
フーテン語録 第24号
2009年8月27日 20:00
三郎「寅さん、寅さんは恋をしたことありますか?」
寅「おい、こら、おまえ誰に聞いてるんだ、『恋をしたことがありますか』よく言うよおまえ。オレから恋を取ってしまったら何が残るんだ。三度三度飯を食って屁をこいて糞をたれる機械。つまりは造糞機だよ。な、おいちゃん」
(第30作『男はつらいよ 花も嵐も寅次郎』』より)~~~~~~~~
<解説>
寅さんは、自分のことを熟知している。身の丈をわきまえているからこそ、こうした
冷静な自己分析をすることが出来るのだろう。二枚目の三郎青年(沢田研二)は、顔
に似合わず、恋愛には奥手。そこで、恋愛のエキスパートである寅さんが、余裕を持
って恋の指南を買って出るのだが・・・
フーテン語録 第25号
2009年8月27日 20:00
お互いに稼業はつれえやなあ。
まあ、こんなことはいつまで続くもんじゃねえよ。
今夜中にこの雨もカラッと上がって、明日はきっと気持ちのいい日本晴れだ。
お互いにくよくよしねえでがんばりましょう。
(第8作『男はつらいよ 寅次郎恋歌』より)~~~~~~~~
<解説>
旅先で寅さんが、ふと入った芝居小屋。しかし、雨でお客が集まらず、その日は休演。弱り目にたたり目と嘆く座長(吉田義夫)を前に、同じ旅の渡世人の寅さんがかける優しい言葉。「お互い稼業はつれえやなあ」という寅さんの言葉は、こんなご時世だからこそ、誰の胸にも響く。雨の後は、カラッと上がって、日本晴れとなる、という寅さんのポジティブな言葉は、今を生きるわれわれへの大きなエールでもある。
フーテン語録 第23号
2009年4月24日 14:30
上等、上等、温かい味噌汁さえあれば十分よ。あとはお新香、海苔、たらこひと腹、ね!からしのきいた納豆、これにはね、生ねぎを細かく刻んでたっぷり入れてくれよ!あとは塩昆布に生卵でも添えてくれりゃ、おばちゃん、何もいらねえな、うん。
(第5作『男はつらいよ 望郷篇』より)~~~~~~~~
<解説>
寅さんの理想の「朝ご飯」は、実にバランスが良い。普段の旅暮らしで、食事も偏りがちな寅さんの、願望が多分に含まれているとはいえ、これぞ「日本の朝ご飯」といった王道を往くメニューとなっている。用意するおばちゃんとしては、面倒この上ない話だが、寅さんが求める「ひと手間」こそ、理想の家庭のあり方なのだろう。
フーテン語録 第22号
2009年3月19日 19:00
博「なぁ、さくら、考えてみると、俺も子供の時、親父がひたすら憎くて、母親がいつも味方になってくれてたよ。なんでこう親父ってのは、わけのわからないことばかり言うんだろうと思っていたけれど、今、それと同じことを、自分の息子にしてるんだもんな」
(第46作『男はつらいよ 寅次郎の縁談』より)~~~~~~~~
<解説>
寅さんの義弟・諏訪博も、十代の頃は父親に反抗、高校を中途退学して家出して上京。父親に対するコンプレックスも人一倍強かった。だからこそ息子の満男を賢明に育てて来たにも関わらず、その満男も父親に反発してしまう。博の抱える矛盾は、世の父親が抱える大きな問題でもある。その話をきちんと受け止める妻のさくらは、博にとっても満男にとってもかけがえのない存在。「家族がいちばん」。シリーズを通しての大きなテーマでもある。
フーテン語録 第21号
2009年3月 2日 11:00
それがいけねぇのよ、一杯が二杯になり三杯になる。団子が出るか、また茶を飲むか、そのうち酒になるじゃねぇか・・・俺ァ一杯や二杯じゃすまねぇぜ、気がついた頃には、お銚子がずらっと並ぶんだ、さあ、もう腰が立たねぇや、いっそのこと泊まっていくか・・・鴉カアと鳴いて朝になる。おはよう、また、お茶をください、二杯になる、三杯になる、団子が出るか、酒を飲むよ、どうする、俺は旅に行けなくなるじゃねぇか。
(第2作『続・男はつらいよ』より)~~~~~~~~
<解説>
寅さんは、万事において気が利く。ということは、気を回しすぎることもしばしばあるということ。特に家族や他者とのコミュニケーションで「何をそこまで」というほどの想像力を駆使して、相手を呆れさすこともしばしば。第2作『続・男はつらいよ』で、久しぶりに柴又へ帰って来た寅さんを歓待しようとするおばちゃんに、寅さんが言った言葉。
フーテン語録 新年特別号
2009年1月 5日 10:00
御通行の皆様、新年あけましておめでとうございますように。さてここに陳列されましたる幸せを呼ぶ鶴亀でございます。
鶴は千年、亀は万年、あなた百までわしゃ九十九まで、共にシラミのたかるまで、三千世界の松の木が枯れても、おまえさんと添わなきゃ、シャバに出た甲斐がない。
七つ長野の善光寺、八つ谷中の奥寺で竹の柱に萱の屋根、手鍋下げてもわしゃ、いとやせぬ。信州信濃の新そばよりもあたしゃあんたのそばがいい。
あなた百までわしゃ九十九まで、共に白髪の生えるまでというのが本当、 もしこれで買い手がなかったら、貧乏人と思って諦めます。
右に行って井筒橋、左に行って三ケ日、右と左の泣き別れだ!!
(第6作『男はつらいよ 純情篇』より)~~~~~~~~
<解説>
歯切れの良い寅さんのタンカ売が、お正月の澄んだ空に響き渡る。第6作『男はつらいよ 純情篇』のラスト、日本晴れの浜名湖で、寅さんが源ちゃんと一緒に「幸福を呼ぶ鶴亀」を売ったときの口上。お正月は寅さんとともにあり、このタンカ売を惚れ惚れと聞いたファンも多いだろう。2009年のお正月も、この寅さんのタンカ売とともに、スタートする。いつの時代にも、どんなご時世にも、われわれにとって、寅さんの明るさは、何よりの糧だし、元気の源となる。
フーテン語録 第20号
2008年12月30日 18:00
さくら「もうすぐお正月よ」
寅「うん」
さくら「ねえ、たまにウチにいない? みんなで集まってお雑煮食べて、ね」
寅「冗談言っちゃいけねえよ。正月はこっちの稼ぎ時だい。オレなあ、今年は新潟の弥彦に行ってみようと思うんだ」
さくら「うん」
寅「人が出るぞ! 金なんかじゃんじゃんじゃんじゃん儲かっちゃってよ、腹巻なんか、こんなになっちゃうよ。ハハハ」
さくら「フフフ」
寅「今年は不景気だから、とりわけ人が出らァ」
さくら「そうね」
寅「でもよ不景気だから金が儲かるなんて言ってたら、裏の社長に叱られるか」
さくら「・・・」
寅「じゃあ行くぜ、あ、藤子さんによろしく言ってくれよ。なんだか寝てるようだったから、挨拶しねえで来ちゃった。な」
さくら「なんて言えばいいの? 藤子さんに」
寅「ん、まあ、なんか適当に言っといてくれよ、な」
(第20作『男はつらいよ 寅次郎頑張れ!』より)~~~~~~~~
<解説>
第20作『男はつらいよ 寅次郎頑張れ!』は、寅さんが恋のコーチを買って出る微笑ましい一編。そのラスト、藤子(藤村志保)への淡い想いを断ち切って旅立つ場面の台詞より。寅さんはいつも年末の慌ただしいときに、故郷・柴又を後にする。妹・さくらにとっては、せめてお正月は家族一緒で過ごしたいと願っているのに。テキヤ稼業にとっては、お正月は掻き入れ時でもあり、寅さんはこの忙しさにまぎれて失恋や、いろいろな事を忘れて、新しい一年を迎えるかもしれない。タコ社長へのさりげない気遣いが、寅さんの優しさを感じさせてくれる。
フーテン語録 第19号
2008年12月24日 18:30
旅というものはな、行き先を決めてから、出かける、というもんじゃねぇんだよ。汽車の窓から、のんびり外を見ている、穏やかな瀬戸内海、緑の島、ああ、行ってみたいなぁ、傷ついた満男はふらり、駅に降りる、ポンポンポンポン、ポン・・・連絡船、島の人は親切だ、宿なんかなくたって、構わない、『良かったら、家にとまりいな、部屋は空いとるけえ』東京の人が来たというので、みんな集まって酒盛りだ、一晩が二晩、一週間二週間は夢のうちだよ・・・
(第46作『男はつらいよ 寅次郎の縁談』より)~~~~~~~~
<解説>
寅さんは旅人である。さすらうことで日々を生きている。その旅人ならではの、情景描写は、聞く人を魅了する。第46作『寅次郎の縁談』で、就職活動に嫌気がさしてしまった満男が家出して心配する家族に、旅先での満男のことをイマジネーション豊かに語る。ここに寅さんの「旅するよろこび」が垣間見える。
フーテン語録 第18号
2008年11月27日 14:30
働く? 何言ってんだお前。働くっていうのはな、博みてえに、女房のため、子供のため、額に汗して、真っ黒な手して、働く人たちのことを言うんだよ。俺たちは口から出まかせ、インチキくさい物売ってよ、客も承知でそれに金払う、そんなところで、おマンマ頂いてんだよ
(第39作『男はつらいよ 寅次郎物語』より)~~~~~~~~
<解説>
いつも旅の空で、テキヤ稼業を生業としている寅さん。本当は誰よりも「労働の尊さ」を知っているのかもしれない。「わかっちゃいるんだ」けれども、寅さんは「労働に憧れる」だけで、実際には堅気にはなれない。同時に、寅さんは、事の本質、モノの真実を見極めている人でもある。こうした発言に、寅さんの客観するまなざしを感じることができる。
フーテン語録 第17号
2008年11月 5日 19:45
これから五年、十年たって、いい年して、身寄りもなくたよりもなく、ケツ温める家もなく、世間のものは相手にしてくれねぇ、その時になって、ああ俺は馬鹿だったなと後悔しても、もう取り返しがつかねえんだぞ、いいか、人間、額に汗して、油まみれで、地道に働いて暮らさなきゃいけねぇ、そこに、早く気がつかにゃいけねえんだ。
(第5作『男はつらいよ 望郷篇』より)~~~~~~~~
<解説>
寅さんは渡世人であるがゆえに、堅気の労働者やサラリーマンの安定した暮らしに憧れている。寅さんにとって安定というのは、何も収入だけでなく、「額に汗して働く、労働の喜び」を毎日味わう充実感を伴う暮らしのこと。第5作『望郷篇』の寅さんは、一念発起して労働者を目指すが、果たして?
フーテン語録 第16号
2008年10月23日 17:30
ああ、それからな、君たち東京へ出て故郷が恋しくなってたまらなくなったら、葛飾柴又帝釈様の参道に、とらやという古臭いダンゴ屋があるから、そこへまっすぐ尋ねて行きな。・・・そこには、俺のおいちゃんとおばちゃんにあたる老夫婦と、それからたった一人の妹がいるからよ。どいつもみんな、涙もろい情け深い奴らばっかりで、君たちが故郷へ帰ったみたいにきっと親身になって迎えてくれるよ・・・
(第7作『男はつらいよ 奮闘篇』より)~~~~~~~~
<解説>
東京都葛飾区柴又は、寅さんの故郷。寅さんを「故郷のかたまりみたいな人」と評したマドンナ(第42作『寅次郎心の旅路』の久美子・竹下景子)もいたほど、寅さんは柴又を愛している。江戸川の流れ、幼き日に遊んだ帝釈天の境内、そして懐かしき門前の人々。何よりも、おいちゃん、おばちゃん、そしてさくらたち家族が待っている。旅先で知り合った人々に、寅さんは優しく「柴又へおいで」と声をかける。心寂しき人にとって、家族のぬくもりが一番、ということを知っているからだろう。
フーテン語録 第15号
2008年10月16日 21:30
はい、そのお気持ちはありがとうございます。が、キリがありませんから・・・はい、朝ごはんをいただいた後に、食後のお茶を飲みながら、バカっぱなしをしているうちに、すぐお昼です。『おそばにしますか?おうどんにしますか?』『そうですねえ、おそばでもいただきましょうか』そんなことしているうちに、三時のおやつですから。薄切りの羊羹にお薄をいただいているうちに、今度は夜です。『もう一杯どうですか?』『いえいえ』、二杯が三杯、四杯、またこちらへ泊まるようなことになります。それじゃキリがありませんから。
(第32作『男はつらいよ 口笛を吹く寅次郎』より)~~~~~~~~
<解説>
寅さんは、相手を意識すると、過剰な反応に出ることがしばしばある。第32作『口笛を吹く寅次郎』で、博の父の墓参に訪れた備中高梁の蓮台寺*で、美しき朋子(竹下景子)に一目惚れして、一泊の宿を甘えた寅さんが翌朝、意を決して辞そうとした時の発言。冗談のように聞こえる気の回し方だが、この言葉は結局現実のものとなる・・・
*メールマガジン「フーテン便り 15号」にて、誤表記がございました。正しくは、岡山県備中高梁の蓮台寺(撮影は薬師院)です。訂正してお詫び申し上げます。
フーテン語録 第14号
2008年10月 3日 22:00
伯父さん、人間は誰でも幸せになりたいと、そう思っている。僕だって、幸せになることについて、もっと貪欲になりたいと考えている。でも、それじゃぁ、幸せってなんなんだろう。泉ちゃんは、『お父さんは幸せそうに暮らしている』と言ったけど、あのお父さんはほんとうに、幸せなんだろうか。伯父さんのことについて言えば、タコ社長は『寅さんが一番幸せだよ』とよく言うけど、伯父さんはほんとうに幸せなんだろうか。仮におじさん自身は幸せだと思っていたとしても、お母さんの目から見てだと不幸せだとすれば、いったいどっちが正しいのだろうか。人間はほんとうに分かりにくい生き物なんだな、と近頃しみじみ僕は思うんだ。(満男)
(第43作『男はつらいよ 寅次郎の休日』より)~~~~~~~~
<解説>
「本当の幸せとは何か?」シリーズに登場するマドンナたちは、いつもそれを求めて寅さんと出会い、何かを得る。小さい時から寅さんを観て育った満男も年頃となり、自分と泉、そしてさくらや寅さんの「幸福観について」考えている...。
フーテン語録 第13号
2008年10月 3日 21:30
オレだって、ガキの時分にウチ出て長い間フーテン暮らししてたよ。だけど、片時だって肉親のことは忘れなかったよ。会ってやれよ。こんな広い世の中にたった二人っきりの姉弟じゃねえか、会いたくねえわけはねえよ、な。
(第27作『男はつらいよ 浪花の恋の寅次郎』より)~~~~~~~~
<解説>
寅さんとさくら、異母兄妹であるがゆえに、肉親としてお互いを思いやる気持ちは大きい。寅さんにとっての"ふるさと"は、妹さくらの事を想う瞬間かも?第27作『浪花の恋の寅次郎』で、ふみ(松坂慶子)に弟がいることを知った寅さんの優しい言葉。
フーテン語録 第12号
2008年9月 5日 17:30
いいか、片手に杯を持つ、酒の香りをかぐ、な、酒の匂いが鼻のシンにずーっと染み通った頃、おもむろにひとくち、呑む。さあ、お酒が入っていきますよということを、五臓六腑に知らせてやる、な。そこで、ここに出ている突き出し、これを舌の上にちょっとのせる、これで酒の味がぐーんと良くなる。それからチビリチビリ、だんだん酒の酔いが身体に染み通ってゆく・・・それをなんだお前、駆けっこして来た奴がサイダーを飲むみたいに、ガーッと飲んで、胃袋が驚くよ、それじゃ、わかったか?
(第42作『男はつらいよ ぼくの伯父さん』より)~~~~~~~~
<解説>
浪人となった満男の悩みを聞いてあげようと、寅さんが浅草のどぜう屋へと誘う。酒の飲み方の指南が出来るのは、人生の酸いも甘いも噛み分けた、寅伯父さんだからこそ。
フーテン語録 第11号
2008年9月 2日 10:00
本来ならば、黄昏時、人目を忍んで裏口から、そっと入ってくるところをおいちゃんたちに見つかって、『おまえのようなヤクザなやつはうちの者ではない。とっとと出て行け』そう言われても一言も文句の言えない立場の俺が、かくも盛大なる心優しい歓迎をいただきまして、ありがとうございます。
(第45作『男はつらいよ 寅次郎の青春』より)~~~~~~~~
<解説>
寅さんは身の丈を知っている。分をわきまえている。その気持ちが「言葉」となって出て来るのに、実際に帰って来ると、どうしてもひと騒動を起こしてしまう。しかし、この寅さんの「言葉」はとても美しい。
フーテン語録 第10号
2008年8月23日 11:30
さくら、元気か。お前の肉親や、おいちゃんおばちゃんたちに、変わりは無いか。
オレは相変わらずの旅ガラスだ。花見を追っかけて南から北へ短い夏が終わればもう秋だ。今度は紅葉を追って北から南へ逆戻り。こんな暮らしから早く足洗いたいといつも反省するんだが、知ってのとおりのヤクザな性分だ。
長続きする訳なんかねえ、バカは死ななきゃ治らねえとはオレのことさ。せめて お前の息子に、決して伯父さんみたいな人間になるなと、朝晩言って聞かせてやれよ。満男が正直で働き者で、町内の人たちに慕われるような、立派な人間になれることを伯父さんはいつも祈ってるとな。
(第40作『男はつらいよ 寅次郎サラダ記念日』より)〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
<解説>
寅さんの故郷への想い。それは映画を観ているファン、ひとりひとりの想いとリンクする。故郷は遠きにありて思うものではあるけど、やはり、さくらや満男のことを想って、柴又へと帰ってくる・・・
フーテン語録 第9号
2008年8月 7日 21:40
寅「これこれ、おなご衆」
あけみ「ハイ、旦那様」
寅「暇なうちに御膳をすませてしまいなさい。無駄なおしゃべりなどをしないで、さっさと食べてしまうこと。昔から早飯早糞芸のうちと言って、私など座ったなと思ったらもうケツをふいております。こないだなどは糞をする前に、ケツをふいてしまって、まあ、親戚中で大笑い、フハハハ」
(第38作『男はつらいよ 知床慕情』より)~~~~~~~~~~~~
<解説>
寅さんと、タコ社長の娘あけみ(美保純)は、名コンビ。気心が知れているだけでなく、笑いのセンスや呼吸もピッタリ。これぞ寅さんの"旦那芸"!微笑ましくも楽しい、柴又でのひとときの会話。
フーテン語録 第8号
2008年8月 1日 18:45
マリ「あ!すいません。記念写真を一枚」
寅「オレか?」
歌子、みどり「あ、そうね。じゃ、向こうに、どうぞ」
マリ「そこに並んで、もうちょっとくっついて。ハイ、写すわよ、ハイ、笑ってー」
寅「バター」
歌子、みどり、マリ「・・・」
寅「あっ、オレ、バターって言った? あっ、間違えちゃった、あれ、チーズなんだよね、ハハハ・・・」
(第9作『男はつらいよ 柴又慕情』より) ~~~~~~~~~~~~
<解説>
寅さんが福井県のローカル線のとある駅近くの味噌田楽を商う茶店で、出会った歌子(吉永小百合)たちOL三人組に、持ち前の気前の良さで御馳走する。その御礼にと、記念写真を撮ったときの一言。寅さんにとっては「チーズ」も「バター」も大差ないのだろう。口を大きく空けるには「バター」の方が良いとは、その後、彼女たちと同行したバスのなかでの寅さんのセリフ。
フーテン語録 第7号
2008年7月25日 18:00
寅「日本の男はそんなこと言わないよ。何も言わない。目で言うよ。『お前のことを愛してるよ』すると目で答えるな『悪いけど、私あんたのこと嫌い』するとこっちも目で答えるナ、『わかりました、いつまでもお幸せに・・・』そのままくるっと背中を向けて黙って去るな。それが日本のやり方よ」
(第24作『男はつらいよ 寅次郎春の夢』より)~~~~~~~~~~~~
<解説>
アメリカ人と日本人。それぞれの恋の仕方がある。とらやにアメリカ人のマイケル・ジョーダン(ハーブ・エデルマン)が下宿して、思わぬ国際交流をすることになった寅さん。典型的日本人の代表として、寅さんが自信を持って、言った一言。さすが、引き際をわきまえている寅さん!
フーテン語録 第6号
2008年7月17日 18:00
愛子 「どうしてフーテンって言うの?」
寅 「故郷を捨てた男だからよ」
愛子 「ということは、奥さんとか子供とも別れたっていうわけ?」
寅 「そんな面倒なものは、最初っからいやしねえよ」
(第28作『男はつらいよ 寅次郎紙風船』より)~~~~~~~~~~~~
<解説>
ひょんなことから、寅さんと旅をすることになった、フーテン少女の愛子(岸本加世子)。そもそもフーテンとは? 愛子の素朴なギモンに、寅さんがズバリ答えた一言。いささか、カッコよすぎるが、旅先の寅さんは、やっぱり渡世人!
フーテン語録 第5号
2008年7月10日 18:00
さくら「お兄ちゃんはさ、カラーテレビもステレオも持っていないけど、そのかわり誰にもないすばらしい物を持ってるものね」
寅「何だ、えっ? あっ、俺のカバン開けて見たのか」
さくら「違うわよ、形のあるものじゃないわ」
寅「なんだ、屁みたいなものか?」
さくら「違うわよ、つまり、愛よ。人を愛する気持ちよ」
(第11作『男はつらいよ 寅次郎忘れな草』より)~~~~~~~~~~~~~~~
<解説>
上流と中流、人に階級があってはならないのに、格差があるのも、また現実。寅さんは自身を中流程度と思っているようだが、カラーテレビも車も持っていない寅さんは、果たして中流なのか? と、茶の間で家族やタコ社長が、それぞれの意見を言い合う。そこで、さくらが言った一言は、寅さんの本質!
フーテン語録 第4号
2008年7月 7日 10:00
寅「わかんねえもんだな、人の命なんてものは。はやい話がよ、このオレが今晩ぐっすり寝て、明日の朝、パチッて目を覚ましたら死んでるかもしれないからな」
満男「死んでたら目を覚まさないよ」
(第28作『男はつらいよ 寅次郎紙風船』より)~~~~~~~~~~~
<解説>
人の世のはかなさ、人間の運命について、寅さんなりの見解を述べたつもりが、満男(吉岡秀隆)の一言で、笑いに転じてしまう。しかし、素朴な満男の言葉もまた、この伯父さんにして、この甥っ子あり!
フーテン語録 第3号
2008年6月25日 17:50
寅「いいかい恋なんてそんな生易しいもんじゃないんだぞ。飯食う時だってウンコする時だって、いつもその人のことで頭がいっぱいよ。何かこう胸の中が柔らかーくなるような気持ちでさ、ちょっとした音でも、例えば千里先で針がポトンと落ちても、アーッとなるような、そんな優しい気持ちになって、いい、その人のためなら何でもしてやろう。命だって惜しくない。寅ちゃん、私のために死んでくれる?って言われたら、ありがとうと言ってすぐにでも死ねる。それが恋というものじゃないだろうか?」
(第10作『男はつらいよ 寅次郎夢枕』より)~~~~~~~~~~~
<解説>
数ある寅さんの「恋愛論」のなかでも秀逸なのが『寅次郎夢枕』での発言。寅さんの理想の恋愛は、「相手のためなら、命だって惜しくない」、命がけなのである!
フーテン語録 第2号
2008年6月19日 16:00
寅「いいかい、自分の気に入った作品は人に渡したくない、ましてや気に入らない作品を売るわけがない、だから全然金が入らない、これが芸術家よ、わかるか、さくら」
さくら「そうねえ、私は芸術家じゃないからよく分からないけど、でも、とっても気に入ったスーツ縫い上げた時なんか、ちょっとお客さんに渡したくないような時があるわね」
寅「さくら、お前、芸術家だよ」
(第12作『男はつらいよ 私の寅さん』より)~~~~~~~~~~~
<解説>
小学校の同級生の柳文彦(前田武彦)の妹で画家のりつ子(岸恵子)に恋をした寅さん。絵を描くのも、さくらが洋裁をするのも、同じ創作活動だと、本質的なことを理解している。さすが寅さん!
フーテン語録 第1号
2008年6月13日 16:00
寅「なに? 俺に好き人がいてその人に兄さんが・・・。バカヤローいるわけねえじゃねえか冗談いうなって」
博「いや仮にそうだとしても、今の俺と同じ気持ちになるはずだと・・・」
寅「冗談いうなよ。俺がお前と同じ気持ちになってたまるか。馬鹿にすんなこの野郎」
博「なぜだ?」
寅「なぜだ、お前頭悪いな、俺とお前は別の人間だ、早え話が俺が芋食えば手前の尻からプッと屁が出るか?どうだ」
(第1作『男はつらいよ』より)~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
<解説>
独身時代のさくらに心を寄せる博に対し、兄として"話をつけよう"と対決にのぞんだ寅さん。口論のなか、思わず出た"俺が芋食えば~"の言葉は、情けに厚いが決して馴れ合わない、粋な寅さんのポリシーが感じられる名台詞。










