男はつらいよ

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男はつらいよ 寅次郎の縁談
スタッフ

第46作 (平成5年12月 公開)
男はつらいよ 寅次郎の縁談

就職活動中の満男は、博と大げんかして、夜汽車に飛び乗る。一年ぶりに柴又へ帰って来た寅さんに、さくらが満男の悩みを告げていると、ちょうどそこへ、満男からの手紙が届く。瀬戸内海に浮かぶ琴島に、満男を迎えに行く寅さんだったが、美しい葉子(松坂慶子)の存在を知り、島に残ることに。一方、満男は看護師のあや(城山美佳子)とむつまじく過ごしていた・・・
 第27作『浪花の恋の寅次郎』以来、松坂慶子が二度目のマドンナを演じて、寅さんとの楽しい日々が描かれる。瀬戸内海に浮かぶ小さな琴島は、現代社会から隔絶されたユートピアのような雰囲気で、駐在さん(笹野高史)、住職さん(桜井センリ)、おばさん(松金よね子)たち、島の住民たちも、どこかのんびりとしている。新国劇のベテラン、島田正吾が葉子の父でハイカラな老人、田宮善右衛門を好演。宴会で葉子とタンゴを踊るシーンは幸福感に満ちている。また第1作のマドンナを演じた光本幸子が、第7作『奮闘篇』以来久々に、冬子役で出演。『釣りバカ日誌』のハマちゃん(西田敏行)も意外なかたちで登場する。

葉子

葉子

お父さんのそばで、
毎日毎日、波の音
聞いていたら、
思い詰めていた気持ちが、
風のように
消えてしもうてね・・・
そんな時よ、
寅さんに会うたんは・・・

マドンナ

葉子

葉子(松坂慶子)

神戸で飲食店を経営していたが、病気になり、父の住む琴島で療養中。父・田宮善右衛門の正妻の子ではないが、一番可愛がられている。満男を連れもどしに来た寅さんと心を通わせ、楽しい日々を過ごす。

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葉子 第27・46作 松坂慶子

中学時代からテレビドラマに出演、1970年大映から本格的映画デビューを果たし、数多くのドラマ、映画に出演。野村芳太郎監督の『事件』(78年)、『わるいやつら』(80年)での演技で注目を集め、『青春の門』(81年)と『蒲田行進曲』(82年)、そして『死の棘』(91年)では、各種主演女優賞に輝く高い評価を受けた。シリーズでは第27作『浪花の恋の寅次郎』、第46作『寅次郎の縁談』でマドンナを二回演じている。

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ゲスト

田宮善右衛門

田宮善右衛門(島田正吾)

タンゴ、タンゴ!

葉子の父。香川県琴島に住む老人。かつては羽振りが良かった大旦那。遺産は実子たちに生前分与をして、今は自適に暮らしている。タンゴを好み、外国葉巻をたしなむモダンボーイだった。

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田宮善右衛門 第46作 島田正吾

1923年新国劇に入団。創設者・沢田正二郎の死後、辰巳柳太郎(第34作『寅次郎真実一路』に出演)とともに、新国劇の代表スターとして、1987年の解散まで活躍。「関の与太っぺ」「瞼の母」「一本刀土俵入」などを当り狂言にし、舞台、映画、テレビでも活躍。91年より2002年まで、新国劇の当たり芝居「王将」などを、一人芝居の公演を続け、目標だった100歳での公演を目前にした2002年、98歳で亡くなった。

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亜矢

亜矢(城山美佳子)

うち都会はすかん、人が多いし、やかましいし、それにね、ここの診療所を辞めたら、島中の人たちが怒るんよ

琴島で働く看護師。大阪の看護学校を出て、瀬戸内海の小島で勤務、高齢化している島民たちからも慕われている。東京から来た青年・満男に惹かれている。

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亜矢 第46作 城山美佳子

NTV「熱中時代」に生徒役で出演、子役時代から活躍し、1987年アイドルユニト、パンプキンとしてレコードデビュー。グループ解散後は、女優として、テレビ、映画、舞台などで活躍。

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冬子

冬子(光本幸子)

寅ちゃん、最近お帰りになるの?

御前様のお嬢さん。第1作『男はつらいよ』で寅さんが恋をしたが、冬子の結婚で失恋。第7作『奮闘篇』では赤ちゃんを連れて里帰り、今回もまた御前様のところへ、娘を連れて里帰り。寅さんのことを「寅ちゃん」と呼ぶ幼なじみ。

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冬子 第46作 光本幸子

新派を代表する女優、映画はこれが初出演となった。「男はつらいよ」シリーズのほかに、『隠し剣 鬼の爪』(04年)で山田洋次映画に久々に出演した。

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男はつらいよ 寅次郎の縁談

今回の寅さん

寅さん
名ゼリフ

寅「満男、伯父さんの顔をよーく見るんだぞ
わかるな、これが
一生就職しなかった人間のなれの果てだ
お前もこうなりたいか?」
竜造「わかってるじゃないか、お前」
寅「オレだって、反省することはあるさ」
社長「その言葉、効き目があるよ」

車一家登場人物の一言

  • 諏訪さくら
    諏訪さくら
    どっちに似たのかしらね、この子のアガリ症は、博さんに似たのかしら
  • 車竜造
    車竜造
    見る目がねえんだよ、会社の人なんて
  • 車つね
    車つね
    ベラベラ喋るのがいいんだったらば、寅ちゃんなんて、どこの会社だって受かっちゃっているよ
  • 桂梅太郎
    桂梅太郎
    多度津か、懐かしいなぁ、その昔、金比羅参りの帰りに、精進落としで遊んだんだよ、親切な女がいてねぇ・・・
  • 諏訪博
    諏訪博
    冗談じゃありませんよ、あんな遊び癖がついている奴に、こんな厳しい仕事ができますか!
  • 諏訪満男
    諏訪満男
    朝4時くらいに起きて漁に出たりするんだ。この新鮮な空気を吸いながら。一日中、働いているとね、おじさん、あぁ、俺は今生きてんだなって、そんな気持ちが心の底から湧いて来るんだよ
夢

本作品にはなし

騒動

騒動

満男家出騒動

就職試験にうんざりした満男は、博と大げんか、柴又を出てしまう。心配するさくらたち、寅さんが戻って来て、偶然届いた「ままかり」と満男の手紙を見て、寅さんが連れ戻しに行くことにするが…

あにいもうと

あに
いもうと

就職活動に疲れ果てた満男が、家出をしてしまう。心配でしょうがないさくらだが、寅さんが満男のいる香川県の琴島へ迎えに行く事になり、ホッと一息つくが…

人々

人々

  • 花嫁行列の父/すまけい
  • 御前様のお嬢さん・冬子/光本幸子
  • 寝台特急瀬戸号 高松行で満男に文句を言う客/人見明
  • 琴島の人々・おばさん/松金よね子、住職/桜井センリ、駐在/笹野高史、船員/神戸浩
  • 雨の帝釈天参道を歩く、釣りバカ/西田敏行
  • 田宮善右衛門/島田正吾
  • 善右衛門の娘・葉子/松坂慶子
  • 中央医院の看護師・亜矢/城山美佳子

寅さんの
啖呵売

啖呵売

さぁどうだ、小ちゃいワンワン、小ちゃいワンワン、ようしもうこうなったら、大きいワンワンもほとんどおまけしちゃおう! ねぇ、さあ大きいワンワン・・・さぁ、ヤケのヤンパチ日焼けのナスビ、色が黒くてくいつきたいが、あたしゃ、入れ歯で歯が立たないよ、ときた。どうだい、この大きいやつ、これなんかもう、タダ同然の値段で売っちゃおう! さぁ、手にとって、見てやってください・・・(香川県土庄町富丘八幡宮・犬のぬいぐるみ)

売ネタ

  • 易断(栃木県烏山町・無形民俗文化財・山あげ祭)
  • 犬のぬいぐるみ(香川県土庄町・富丘八幡宮)

  • 寅さん「瀬戸の花嫁」
  • あや「金比羅船々」
  • 琴島の人々「金比羅船々」
  • 葉子「瀬戸の花嫁」
  • <挿入歌> 小柳ルミ子「瀬戸の花嫁」
  • <挿入歌> 徳永英明「最後の言い訳」

ロケーション

  • 栃木県 那須郡 烏山町(現那須烏山市)/花嫁行列に、寅さんが一言祝辞をのべる
  • 東京駅/寝台特急瀬戸号 高松行に満男が飛び乗る
  • 香川県 三豊市 志々島/海岸通りを歩く寅さんと満男が再会する
  • 香川県 仲多度郡 琴平町 金比羅神宮/葉子と寅さん、金比羅参りに行く
  • 琴電車内 琴平線/栗林公園へと向かう、葉子と寅さん
  • 香川県 高松市 栗林公園/茶店で葉子と寅さんが一休み
  • 香川県 仲多度郡 多度津町 高見島(塩飽諸島)近く/海上タクシーに乗る二人
  • 香川県 牟礼町 八栗寺/寅さんがさくらへ電話
  • 香川県 土庄町(小豆島) 富丘八幡宮/寅さんが犬のぬいぐるみをバイしている
高松

香川県 高松

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香川県 高松

高松 基本情報

高松市(たかまつし)は、四国の北東部、香川県の中央に位置する市で、香川県の県庁所在地である。旧香川郡・木田郡・綾歌郡(1890年2月15日の市制当時の区域は旧香川郡)。四国の経済の中心地で、国から中核市に指定されている。高松都市圏の中心都市である。

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第46作
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琴平

香川県 琴平

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香川県 琴平

琴平 基本情報

香川県の南西部に位置する。町域の西側が、標高524m、瀬戸内海国立公園・名勝・天然記念物に指定されている象頭山の山裾に沿う。

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志々島

香川県 志々島

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香川県 志々島

志々島 基本情報

詫間港の北方およそ6キロメートルの沖合に浮かぶ、周囲3.8キロメートル、面積0.74平方キロメートルの有人島。島内最高峰は標高109mの横尾の辻。

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香川県 志々島

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高見島

香川県 高見島

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香川県 高見島

高見島 基本情報

高見島は塩飽七島に含まれている諸島の一つ。面積は2.3414000平方キロメートル。人口は73人。政区分は多度津町。

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香川県 高見島

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あの頃

食べ物

ママカリ

満男の家出を心配するくるまやに、満男から無事の知らせと共に届いたのが「ママカリ」。和名はサッパといい、ニシン目に属する。主に瀬戸内海、有明海を中心にした西日本で食用とされている。ママカリ=飯借りは、「ご飯がすすみ、炊いた分を食べ切ってもまだ足らず、隣の家から飯を借りてこなければならないほど旨い」という意味。

モノ

易断

寅さんの啖呵売で、もっともポピュラーなネタが、易断本。今回もタイトルバック、栃木県烏山町・無形民俗文化財・山あげ祭で、バイをしている。寅さんはテキヤの中でも、ランクが上なので、食べ物は扱わない。第2作『続男はつらいよ』では京都嵐山で、源公とともに易断をバイしていた。寅さんの啖呵(タク)は、マブ(上手)くて、立て板に水だが、易断そのものを信じているわけではない。『続男はつらいよ』の東京での易断のバイの時に、寅さんの額に鉢巻きが巻いてあり、梵字が書いてあるが、よく見ると、カタカナで「ペテン」とも読める。

ファッション

リクルートスーツ

大学四年生にとって、最大の試練が就職活動。満男が大学四年だった1993年は、バブル経済崩壊後で、就活は至難を極めただろう。リクルートスーツという言葉が定着したのも、この頃。学生が着用するため、安価で没個性的なものが多く、地味なものが好まれる。今や、学生服のような「制服」的な扱いとして、就活の学生をマーケットとして、紳士服メーカーがしのぎを削っている。

主な出来事

11月1日
欧州連合(EU)発足
12月9日
法隆寺(奈良県)、姫路城(兵庫県)、屋久島(鹿児島県)、白神山地(秋田県)が、世界遺産に登録
12月14日
1993年米騒動:日本政府が米の輸入を決定。

データ

封切り日
平成5年12月25日
観客動員数
2,162,000人
入場料
1,800円
上映時間
104分
受賞歴
第17回日本アカデミー賞・最優秀監督賞/山田洋次(1994年)
同・最優秀脚本賞/山田洋次、朝間義隆(同)
同・最優秀録音賞/鈴木功、松本隆司(同)
同・優秀美術賞/出川三男、横山豊(同)
同・優秀編集賞/石井巌(同)
同・会長特別賞/笠智衆(同)
併映作品
『釣りバカ日誌6』
監督:栗山富夫 出演:西田敏行、石田えり、三國連太郎、久野綾希子、谷啓
スタッフ
監督 : 山田洋次 脚本 : 山田洋次 朝間義隆
原作 : 山田洋次
撮影 : 高羽哲夫
音楽 : 山本直純
美術 : 出川三男

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