男はつらいよ

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男はつらいよ 葛飾立志篇
スタッフ

第16作 (昭和50年12月 公開)
男はつらいよ 葛飾立志篇

寅さんを訪ねた女学生・最上順子(桜田淳子)は、もしや寅さんが実父ではないかと、さくらたちを困惑させる。ひと騒動あって、寅さんはまたもや旅の人。その間に、御前様の親戚の大学助手の筧礼子(樫山文枝)がとらやに下宿することになる。柴又に戻ってきた寅さんは、俄然向学心に燃え、礼子が家庭教師となる。伊達眼鏡をかけて猛勉強する寅さんは、やがて礼子の恩師・田所教授(小林桂樹)と意気投合する。その田所は礼子に思慕を寄せていた…
 寅さんが決然と「己を知るために」学問を志す。その動機はなんと、美しきマドンナという不謹慎さ。喫茶店で寅さんが初対面の礼子に「何のために学問をするのか?」と質問をするが、それは旅先で出会った僧侶(大滝秀治)の言葉を鵜呑みにしたもの。マドンナに樫山文枝を迎え、映画やテレビの『日本沈没』で地震学者を演じていた小林桂樹が、役名も同じ田所先生として登場! 巻頭で寅さんを「瞼の父かも?」と、訪ねてくるのは、人気アイドルだった桜田淳子。

拝啓寅さん
みんなからのメッセージ

教育とは、に一石を投ずる作品!

寅ジローさま

「男はつらいよ 葛飾立志篇」これはシリアスな作品だと思います。人は何のために学ぶのか?寅が言います。「己を知るためよ!」と。これは勿論、旅先の僧侶からの受け売りです。でも皆さんはどうでしたか?何のために学ぶのか?何のために学んできたのか?この言葉は皆さんの人生観に一石を投じるので...はないでしょうか。私は大学で経済学を学びましたが、金持ちになった訳でもありません。マー君やサッカーの本田選手の様に子供の頃の夢を叶えて、その職業に就いている方は人口のほんの数%だと思います。アラ50、アラ40の昭和生まれ、昭和育ちの方は学歴社会の名のもとに、いい大学を出て、一流会社に入る事を目指して来たのではないでしょうか。昭和の経済高度成長期、私達の未来は鉄腕アトムの世界の様に、科学技術で満ち溢れ、人々は富裕層の中で暮らしている。そんな未来を描いていた事でしょう。しかし、今の現状はどうでしょう。学歴社会は忘れ去られ、大学を出ても正職に就けない。「契約社員」という差別的職種もあります。年金制度は破綻し支給減額、支給開始時期の高齢化。死ぬまで働けと言ってるようなもんです。これでは私達の未来は鉄腕アトムではなく、楢山節考ですよ。おまけに、犯罪の増加・多様化は目を覆うばかりです。ネグレクトで親が子供を殺し、介護疲れで子供が親を殺す時代になってしまったのです。
こんな時代になり、私達は何を学ぶのか?寅の言うように「己を知るため」私達は人生を生かされているのではないでしょうか。
そんな事を考えながら「男はつらいよ 葛飾立志篇」を見る事にしましょう。

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人生でもっとも大切な「勉強」

ファイヤークイーンさま

僕が初めて寅さんと出会ったのは、この作品でした。
好きになった女性(礼子)に近づくために慣れない勉強を始める寅さんにとても親しみを覚えました。寅さんには、哲学的な問答は似合いません。それは、頭でこねくりまわした理屈よりももっと根っこの部分で寅さんは人生にとって大切なことを知って...いるからです。
礼子が結婚すると勘違い?して潔く身を引く姿、そして、慕って訪ねてきた順子に対する優しさに、それが現れていると思いました。この作品を見て、寅さんのことが好きになり他の作品を見るようになりました。
「男はつらいよ」。この映画を通じて、人生でもっとも大切な「勉強」をしたように思えます。ありがとう、寅さん。

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筧礼子

筧礼子

これからも
(考古学を)一生続けて行くことに
何の疑問も持っていなかったんだけど、
それがいざ結婚ということが起きてみると、
根本からぐらいついてしまって・・・

マドンナ

筧礼子

筧礼子(樫山文枝)

東京大学で考古学研究室助手をつとめる才媛。御前様の親戚にあたる。とらやの二階に下宿し、寅さんの家庭教師となる。自分は何のために学問をするのか? 寅さんの思わぬ問いに戸惑う。恩師である田所教授(小林桂樹)から結婚を申し込まれる。

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筧礼子 第16作 樫山文枝

劇団民藝所属。NHK朝の連続テレビ小説「おはなはん」(66年)のヒロインでお茶の間の人気者に、『黒部の太陽』(68年)、『孤島の太陽』(68年)といった映画に出演。「おはなはん」のテーマ曲を倍賞千恵子が歌い、松竹映画版(岩下志麻主演)の脚本は山田洋次監督が執筆。

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ゲスト

最上順子

最上順子(桜田淳子)

お父さんなの?

山形県寒河江市の女子高生。母一人、娘一人だったが、その母親も最近亡くして、懸命に生きている。毎年、学費の足しにと送金してくれる寅さんを、本当の父親ではないかと、修学旅行で上京した際に、とらやを訪ねる。

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最上順子 第16作 桜田淳子

中学二年の1972年、NTV「スター誕生」で優勝、翌年「天使も夢みる」でデビュー。山口百恵、森昌子とともに「花の中三トリオ」として人気アイドルとなる。映画は『スプーン一杯の幸せ』(75年)、『遺書・白い少女』(76年)に主演。92年の『お引っ越し』の演技で高い評価を受け、第17回日本アカデミー賞助演女優賞などに輝いた。

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轟巡査

轟巡査(米倉斉加年)

この物語は私に勇気と希望を与えてくれました

警視庁亀有警察署・帝釈天前派出所勤務の巡査。

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轟巡査 第10・16・34作 米倉斉加年

1957年、劇団民藝に入団。舞台、映画、テレビドラマで活躍。シリーズ第34作『寅次郎真実一路』(84年)では、家出をするサラリーマンを好演。ほかに、帝釈天前派出所の巡査役で16作、26作に出演、夢のシーンで顔を見せている。絵本作家、画家としても活躍、野村芳太郎監督の『八つ墓村』(77年)のイラストポスターを手がけている。

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慈恩寺の和尚

慈恩寺の和尚(大滝秀治)

己の愚かしさに気がついた人間は、愚かとは言いません

順子の母・雪が眠る、慈恩寺の墓所で、寅さんに「論語」について話す和尚さん。

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慈恩寺の和尚 第16作 大滝秀治

劇団民藝代表。今井正監督の『ここに泉あり』(55年)を皮切りに、映画、舞台、テレビで活躍。第16作『葛飾立志篇』の住職、第17作『寅次郎夕焼け小焼け』の古書店主、第22作『噂の寅次郎』の雲水など、印象の強いキャラクターを好演。山田洋次監督の『母べえ』(08年)の野村医師でも好演している。

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田所教授

田所教授(小林桂樹)

君は僕の師だよ

考古学教授。寅さんに「シベリヤからの引揚者か?」と言われてしまうほど、汚れた身なりをしているが、実は博覧強記の蘊蓄王。恋の本質を語る寅さんに「君は僕の師だ」と賞賛するほどの純情を持ちあせている。

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田所教授 第16作 小林桂樹

1942年、日活映画『微笑みの国』でデビューを果し、戦後は大映の二枚目として活躍。1951年、東宝の『ホープさん』を皮切りに、『三等重役』(52年)、「社長シリーズ」(51〜70年)など、東宝サラリーマン映画の顔となる。73年、『日本沈没』で演じた、地球物理学者・田所博士を、74年のテレビ版で再び演じ、当り役となった。日本映画、演劇界を代表する芸歴60年の名優。

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男はつらいよ 葛飾立志篇

今回の寅さん

寅さん
名ゼリフ

寅「姉ちゃんは、何のために勉強をしているんだい?」
礼子「さあ・・・」
寅「考えてみたことは、ねえかい?」
礼子「そうですね・・・つまり」
寅「己れを知るためよ」

車一家登場人物の一言

  • 諏訪さくら
    諏訪さくら
    もらっときなさい、兄はお金持ちなんだから
  • 車竜造
    車竜造
    こいつは馬鹿だけど、嘘をつかねえ男だから
  • 車つね
    車つね
    わかんない男だねぇ、そうやって偉い学者の先生たちが、いろいろ研究してくださってるからこそ、私たちがこうやって平和に、暮らしていられんじゃないの
  • 桂梅太郎
    桂梅太郎
    今日はねえ、もうようやくねえ、手形がひとつ落とせたんでね、お祝いにね、一杯やっちゃったんだよ
  • 諏訪博
    諏訪博
    いいですか、勉強して目が悪くなって、その結果、メガネをかけるんですよ。メガネをかけたからといってね、勉強したことにはなりませんよ
夢

西部。酒場で歌姫が兄を想いながらバラードを歌っていると、悪党たちが彼女に絡む。そこへタイガー・キッドが登場。彼こそ行方不明の兄だったのだ…

騒動

騒動

隠し子騒動

とらやに可憐な女子高生が訪ねてくる。もしかしたら「寅さんの隠し子か?」という疑惑が持ち上がり、一家は大慌て。

あにいもうと

あに
いもうと

順子のために、財布の中の全財産をはたいてしまった寅さん。「隠し子騒動」のあげく、例によって旅に出る寅さんの財布に、自分の財布からお金を入れてあげる。

人々

人々

  • 最上順子/桜田淳子(寅さんを父かも?と思ってとらやを訪ねる)
  • 帝釈天前派出所勤務・轟巡査/米倉斉加年
  • 慈恩寺の和尚/大滝秀治(寅さんに「論語」を話す山形の和尚。)
  • 田所教授/小林桂樹(礼子の恩師で、考古学一筋の学者。)

寅さんの
啖呵売

啖呵売

雨ニモ負ケズ風ニモメゲズ、何処へ持っていっても、長持ちのする物、ねっ、はい、これ見てごらん、どう、ね。ハイ、ハイ女学生の皆さんちょっとこっちいらっしゃい、ちょっとこっちいらっしゃい。これ見てちょうだい、どうハイ、ほら中学生、高校生の皆さんみんなこっちいらっしゃい、どう、これ手に持って見てね、どう、みなさんもう修学旅行はもうしました?・・・まだしない? 来年はきっとします。(上の山観音・水岸山、観音寺の祭礼・鞄)

売ネタ

  • 鞄(上の山観音・水岸山、観音寺の祭礼)
  • 文房具(源公と、東京都葛飾区金町・すずらん通り商店街)

  • さくら「さくらのバラード(西部劇版)」
  • 轟巡査「私の青い鳥」
  • 社長「心のこり」
  • 田所教授「ソーラン節」

ロケーション

  • 長野県 小諸市 田舎道/寅さんが荷馬車でうたた寝をしている。馬子役は装飾の露木幸次。
  • 山形県 上山市 かみのやま温泉/上の山観音(湯の上観音)水岸山・観音寺の祭礼で寅さんが啖呵売。
  • 山形県 大江町 最上川 渡し舟。
  • 山形県 寒河江市 慈恩寺/お雪さんの墓参をする寅さん。
  • 津市・西浦付近。寅さんと田所先生の旅が続く。
寒河江

山形県 寒河江

日本地図
山形県 寒河江

寒河江 基本情報

寒河江市(さがえし)は、山形県のほぼ中央にある人口約4万1千人の市。西村山郡の中核都市として発展してきたほか、県内随一のサクランボの産地としても知られる。

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あの頃

食べ物

うなぎ

順子をもてなそうと、寅さんが御馳走を、とおばちゃんやさくらに準備させる。出前でうなぎを取ろうとすると、おばちゃんは「あたし、うなぎ嫌いだよ」といい、「さくらちゃんもだよ」とだめ押しをする。シリーズにはしばしば“うなぎ”の話題が登場。第2作では、散歩先生(東野英治郎)が、江戸川のナチュラルなうなぎを所望し、第16作では、池之内青観(宇野重吉)がとらやに付けてうなぎやで一杯。第25作では、飲まず食わずの寅さんが、目の前のうな重を・・・

モノ

布団の綿入れ

寅さんからの電話を満男が受ける場面。おばちゃんとさくらが、布団の綿入れをしている。季節の変わり目には、どこの家庭でも見られた光景だが、布団の綿入れは、熟練の技術を伴うということで、現在では“国家検定綿入技能士”という国家資格となっている。

ファッション

眼鏡

学問を志した寅さんが、まずは“気分から”と柴又商店街の時計宝石店でだて眼鏡を購入。寅さんは大真面目だが、周りのリアクションは手厳しい。おばちゃんは「色眼鏡はおしゃれな人がかけたりするけど」と、寅さんの眼鏡にはあきれ顔。眼鏡が登場したのは13世紀頃のイタリア。日本に伝えたのは宣教師のフランシスコ・ザビエルとされている。

主な出来事

11月15日
第1回主要国首脳会議がフランスのランブイエで開催。
11月26日〜12月4日
スト権スト実施。
12月10日
1968年の同日に発生した三億円事件が時効成立。
12月14日
国鉄の蒸気機関車が引く最後の旅客列車が室蘭本線の室蘭駅-岩見沢駅間で走行。

データ

封切り日
昭和50年12月27日
観客動員数
2,131,000人
入場料
1,200円
上映時間
100分
併映作品
『正義だ!味方だ!全員集合!!』
監督:瀬川昌治 出演:ザ・ドリフターズ、榊原るみ、キャンディーズ、ミヤコ蝶々
スタッフ
監督 : 山田洋次 脚本 : 山田洋次 朝間義隆
原作 : 山田洋次
撮影 : 高羽哲夫
音楽 : 山本直純
美術 : 出川三男

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第16作 男はつらいよ 葛飾立志篇