男はつらいよ

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男はつらいよ 寅次郎わが道をゆく
スタッフ

第21作 (昭和53年8月 公開)
男はつらいよ 寅次郎わが道をゆく

熊本県・田の原温泉で、やることなすこと裏目に出てしまう地元の青年・留吉(武田鉄矢)に、“人の道”を大真面目に説く寅さん。ところが宿賃がなくて、さくらが迎えにやってきてオカンムリ。今度こそはと反省の日々を送るが、さくらの同級生で幼なじみのSKDの踊り子・紅奈々子(木の実ナナ)に夢中になって、レビューに通う日々が始まる。一方の奈々子は、このまま舞台を続けるべきか? 結婚して引退すべきか? で、真剣に悩んでいた…
 戦前から戦後にかけて、浅草のランドマーク的存在だった、大劇場・浅草国際劇場の舞台で、絢爛豪華なSKD(松竹少女歌劇)のレビューが繰り広げられる。国際劇場の取り壊しが決定し、それを惜しむかのように舞台に立つ踊り子たちの哀感を描いている。マドンナには、下町育ちの“ショーガール”木の実ナナ。彼女がとらやを大慌てで訪ねるシーンで、ユニークなキャラクターが印象づけられる。

紅奈々子

紅奈々子

だって私から踊りを
取ったらなにが残るの?
一日踊りを休んだら、
体がウズウズして
くるのよ。

マドンナ

紅奈々子

紅奈々子(木の実ナナ)

さくらの同級生で寅さんの幼なじみ。SKDのトップスターだが、ステージ一筋の人生のなか、結婚か、踊りを続けるかで悩んでいる。恋人は、浅草国際劇場の照明技師・宮田隆。寅さんのことを「お兄ちゃん」と慕っているが、少々おっちょこちょいで慌て者な面も・・・

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紅奈々子 第21作 木の実ナナ

父はジャズミュージシャン、母はダンサーという芸能一家に生まれる。バラエティ「ホイホイミュージックスクール」(NTV)でデビューを果し、タレントとして歌番組や映画で活躍。1974年からミュージカル舞台「ショーガール」の主演をつとめ、大人のエンタティナーとして、16年続くヒット舞台となった。

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ゲスト

後藤留吉

後藤留吉(武田鉄矢)

何をおっしゃいますか、そんなことなかですよ、力強い見事なタッチの字ですよ

熊本県で酪農をしている青年。女の子にモテずに、フラれた現場を寅さんに目撃され、寅さんに感化されてしまう。上京し、浅草国際劇場のレビューに夢中になり、そのまま音信不通となり、田舎の母(杉山とく子)を心配させる。

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後藤留吉 第21作 武田鉄矢

1972年、フォーク・グループ「海援隊」を結成。母親に向けたメッセージソング「母に捧げるバラード」(73年)のヒットで、一躍人気タレントとなる。1977年、山田洋次監督の『幸福の黄色いハンカチ』に出演。俳優としても注目を集め、ドラマ「3年B組金八先生」(79年〜TBS)は生涯の当り役となり、主題歌「贈る言葉」は海援隊の大ヒット曲となった。

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宮田隆

宮田隆(竜雷太)

(奈々子にジュースを渡して)冷たいぞ

浅草国際劇場の照明係。寡黙で無骨だが、紅奈々子の恋人でもある。舞台一筋に生きて来た奈々子にプロポーズするが、彼女は果たして・・・

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宮田隆 第21作 竜雷太

青春ドラマ「これが青春だ」(66年NTV)の熱血教師役でデビュー、「太陽のほえろ!」(72年NTV)の石塚刑事・通称ゴリさん役でお茶の間に親しまれた。映画は『新幹線大爆破』(75年)、『犬笛』(78年)などに出演、「釣りバカ日誌」シリーズでは、ハマちゃんの天敵の人事部長を『釣りバカ日誌7』(94年)から『釣りバカ日誌10』(98年)まで演じている。

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男はつらいよ 寅次郎わが道をゆく

今回の寅さん

寅さん
名ゼリフ

青年・・・
女にふられた時は、じっと耐えて、
一言も口を利かず、
黙って背中を見せて去るのが・・・
男というものじゃないか

車一家登場人物の一言

  • 諏訪さくら
    諏訪さくら
    本当言うとね、私もレビューに憧れたり、歌手になりたいって真剣に思ったりしたことあんのよ。そういうささやかな夢ってだれもが一度は持つんじゃないの、ね
  • 車竜造
    車竜造
    そりゃおめえ、オレは満州で馬賊になるつもりだったからなあ
  • 車つね
    車つね
    あんた娘の時分に憧れてたねぇ、SKDに・・・入ってたら今頃どうなってるかねぇ
  • 桂梅太郎
    桂梅太郎
    いいか寅、てめえなんかにな、中小企業の経営者の苦労がわかってたまるか
  • 諏訪博
    諏訪博
    しかし、兄さん好みが難しいからなぁ
夢

柴又に空飛ぶ円盤が飛来! 騒然となる。二階から銀色の背広を着た寅さんが降りてくる。実は寅さんは宇宙人だったのだ。別れを告げ、銀河の彼方へ去るUFO…

騒動

騒動

とらや改造計画騒動

心臓発作で寝込んでいたおいちゃんへの「お見舞い」を渡した寅さん。もしも、自分がとらやを任されたらと、無謀な計画をぶちあげ、一家のひんしゅくを買ってしまい、大げんかとなる。

あにいもうと

あに
いもうと

熊本県の田の原温泉、大朗館に逗留し「先生」と慕われて、気を良くしたものの、宿代もない寅さんが、「最後の迷惑」とさくらにSOSを出す。例によって、さくらは寅さんに会うためにはるばる熊本へ・・・

人々

人々

  • (初代)備後屋/佐山俊二
  • 後藤留吉/武田鉄矢
  • 春子/岡本茉莉(留吉の元彼女?)
  • 大朗館の主人/犬塚弘
  • 留吉の母/杉山とく子
  • 田の原温泉大朗館の親父/犬塚弘
  • 紅奈々子/木の実ナナ(SKDのトップスター)
  • 富士しのぶ/梓しのぶ(SKDの若手)
  • 宮田隆/竜雷太(国際劇場照明係)
  • 夕月静香/春日宏美(SKDのスター)
  • 古城ゆかり/春日宏美(SKDのスター)

寅さんの
啖呵売

啖呵売

さあ、今日は大売り出し、ね、だまって立っていないで、ほら、手に取って見て行ってちょうだい。気に入ったのがあったら、持っていってちょうだい。さあ、まがった数字が、ほら二つだ、兄ィさん寄っていらっしゃいは、吉原のカブだ。仁吉が通る東海道、憎まれ小僧が世にはばかる、仁ッ木の弾正、お芝居の上での憎まれ役、さあ、どうだ、え、よし、こうなったら、まかった数字が三つだ、三つ、三つ、三つどう・・・(東京都台東区・浅草六区映画街東京クラブ裏・スカーフ)

売ネタ

  • 運動靴(大分県武田市・広瀬神社)
  • スカーフ(東京都台東区・浅草六区映画街 東京クラブ裏)

  • 寅「赤城の子守唄」
  • 寅「詩吟 偶成」
  • 寅「SKDの歌」
  • 紅奈々子「道」

ロケーション

  • 大分県 玖珠郡 南山田村 菅原 麻生釣駅/ホームで寅さんが寝ている
  • 熊本県 阿蘇市 阿蘇大観峰/草原を旅する寅さん
  • 大分県 竹田市 広瀬神社/啖呵売
  • 熊本県 上益城郡 矢部町(現・山都町)/通潤橋(日本初のアーチ式水道橋)を寅さんが渡る
  • 熊本県 阿蘇郡 南小国町 田の原温泉 大朗館/寅さんが逗留する
  • 熊本県 阿蘇郡 小国町 阿弥陀杉(国の天然記念物・樹齢1200年)/寅さん、留吉に声をかける
  • 東京都 台東区 浅草国際劇場/さくら楽屋に奈々子を訪ねる
  • 熊本県 阿蘇郡 小国町・杖立温泉。日田からさくらがバスに乗って到着、留吉の迎えを受ける
  • 東京都 台東区 浅草六区映画街東京クラブ裏/寅さんが布地を啖呵売
  • 熊本県 阿蘇郡 南小国町 田の原温泉/留吉の前に、寅さん再び現れる
田の原温泉

熊本県 田の原温泉

日本地図
熊本県 田の原温泉

田の原温泉 基本情報

田の原温泉(たのはるおんせん)は、熊本県阿蘇郡南小国町(旧国肥後国)にある温泉。

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第21作
熊本県 田の原温泉

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近隣のロケ地
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あの頃

食べ物

とんかつ

寅さんが紅奈々子たちを連れて、浅草国際劇場脇の老舗とんかつ屋“河金”でとんかつを御馳走する。明治時代、西洋料理として伝来されたポークカットレットが、昭和に入って「とんかつ」という和製西洋料理となった。その起源にはいくつか説があるが、いずれも昭和初期に上野や浅草の洋食店でアレンジされた「豚かつ」が、全国的に定着したとされる。下町の庶民にとって、とんかつは大事なカロリー源だったと思われる。

モノ

色紙

田の原温泉の大朗館で、寅さんが「先生」と呼ばれるままに、色紙に書いたであろう「反省」の文字。留吉は「力強いタッチ」とほめるが、さくらは恥ずかしそうな顔をする。サインや揮毫を記す色紙の歴史は室町時代までさかのぼる。和紙を染料で染め上げた「いろがみ」に、和歌や絵を描くことが流行し、その需要が高まるにつれ、無色の「色紙」が作られるようになったという。

ファッション

レビュー衣裳

浅草国際劇場の大きなステージでSKDのスターたちが華やかなステージを繰り広げる。レビューの踊り子たちの衣裳は、照明に映え、遠い客席までその姿がはっきりわかるように、鮮やかな原色で彩られている。フランスの大衆演芸としてはじまったレビューは、アメリカのブロードウェイのショーとなり、日本では宝塚やSKDなどの「少女歌劇」へと発展。昭和の始めから、大衆のエンタテインメントとして親しまれることとなる。

主な出来事

8月1日
郵便貯金がオンライン化。
8月1日
営団半蔵門線の渋谷駅・青山一丁目駅間が開通。
8月12日
日中平和友好条約調印。
8月20日
第60回全国高校野球選手権大会は大阪・PL学園高校が大会初優勝

データ

封切り日
昭和53年8月5日
観客動員数
1,897,000人
入場料
1,300円
上映時間
107分
受賞歴
併映作品
『俺は田舎のプレスリー』
監督:満友敬司 出演:勝野洋、ハナ肇、カルーセル麻紀、嵐寛寿郎、鮎川いづみ
スタッフ
監督 : 山田洋次 脚本 : 山田洋次 朝間義隆
原作 : 山田洋次
撮影 : 高羽哲夫
音楽 : 山本直純
美術 : 出川三男

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