男はつらいよ

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男はつらいよ 寅次郎あじさいの恋
スタッフ

第29作 (昭和57年8月 公開)
男はつらいよ 寅次郎あじさいの恋

葵祭でにぎわう京都で、寅さんが鼻緒を直してあげた老人は、なんと人間国宝の陶芸家・加納作次郎(片岡仁左衛門)だった。作次郎の家には、夫に先立たれ、娘を丹後の実家に預けて働いている、美しいかがり(いしだあゆみ)がいた。彼女は心を寄せていた男性の結婚を知り、仕事を辞め帰郷する。彼女をなぐさめようと寅さんが訪ねるが…
 寅さんがマドンナに惚れられアタックされてしまう。いしだあゆみ演じるかがりは、これまでシリーズにはなかった「男と女の関係」という具体的なモーションを寅さんに働きかける。丹後半島の伊根のかがりの家で、寅さんの寝床にそっと彼女が忍びよるシーンは、寅さんならずともドギマギしてしまう。清楚で内気な女性に秘められた情熱。とらやを訪ねたかがりが、寅さんを鎌倉へのデートに誘う。しかし、満男が付き添いでやってきて…。歌舞伎俳優の片岡仁左衛門演じる加納作次郎は、誰しも尊敬する人間国宝、しかし、寅さんにとっては、ただの爺さんという感覚。明るい笑いのなかに、ドキリとする描写を忍ばせる大人の物語。

かがり

かがり

苦労が身について、
臆病になって
しもたんやねえ、
なにごとにつけ、
先生にそういうて
叱られたん。

マドンナ

かがり

かがり(いしだあゆみ)

夫と死別し、小学生の娘は、丹後半島の母(杉山とく子)に預けて加納作次郎の家に住み込みで働いている。作次郎の弟子・蒲原(津嘉山正種)と交際していたようだが、内気なかがりは結局身を引くことに。消極的な性格を作次郎に叱咤され、かがりの気持ちは、優しくしてくれた寅さんに向けられるが・・・

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かがり 第29作 いしだあゆみ

1960年代からテレビドラマで活躍、イメージチェンジをはかった「ブルー・ライト・ヨコハマ」(68年)の大ヒットでトップスターに。『青春の門・自立篇』(77年)、『駅』(81年)、『火宅の人』(86年)などの映画に出演。ドラマ「北の国から」(81年)では、純(吉岡秀隆)の母を好演。2003年には、いしだの家族をモデルにしたNHK朝の連続テレビ小説「てるてる家族」が放映された。

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ゲスト

加納作次郎

加納作次郎(片岡仁左衛門)

ええがなええがな、いずれは割れるもんや、焼きもんは・・・

京都在住、人間国宝の陶芸家。鴨川べりを歩いている時に下駄の鼻緒が切れ、寅さんに直してもらう。そこから二人の立場をこえた奇妙な友情が芽生える。おっとりとしているようで、創作には厳しく、時には激昂することもある。シャイなかがりに本気で腹を立て説教をする。

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加納作次郎 第29作 片岡仁左衛門

十三代目片岡仁左衛門は、1903年東京に生まれ、1924年に四代目片岡我當を襲名。1939年には関西歌舞伎へ移籍し、1951年に片岡仁左衛門を襲名、自ら「仁左衛門歌舞伎」の自主公演など、関西歌舞伎をもり立てた。映画は『寅次郎あじさいの恋』のほか、『雪之丞変化』(59年)に出演。晩年には六部作からなるドキュメンタリー『歌舞伎役者 片岡仁左衛門』(92〜95年)が作られた。94年没。

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今回の寅さん

寅さん
名ゼリフ

風の吹くまま気の向くままってやつだよ。
道の真中でよ、こうやって指にツバキつけるだろ
で、こうやって出すわけだよ。
ふっと風が吹いてきたなって方へ一緒につられて
フワフワフワフワっと行っちゃうわけだ

車一家登場人物の一言

  • 諏訪さくら
    諏訪さくら
    もうこっち岸には生えてないからね、渡し舟で千葉県まで行ってきたのよ
  • 車竜造
    車竜造
    いつまでも妹に心配かけやがって
  • 車つね
    車つね
    なんで寅ちゃんが茶碗なんか焼いてるんだろう?
  • 桂梅太郎
    桂梅太郎
    我々はプラスチックで我慢するんだねえ。なんてたって割ァれないからねえ。俺んとこなんか皿から茶碗までプラスチックだよ。ちょっと味気ないけどねえ、動物園みたいで
  • 諏訪博
    諏訪博
    まあ、仕方が無いさ、技術革新の時代だからなあ、ついていけないんだよ、社長は・・・
夢

信濃の国、貧しい農夫の一家が、旅人をなけなしの飯でもてなす。旅人は御礼にと、襖に“雀の絵”を書く。一夜明け、なんと雀が絵を抜け出し、それがたいそう評判となって、一家は宿屋を始め、繁栄することとなった。

騒動

騒動

鎌倉デート騒動

かがりが寅さんにそっと渡したデートの手紙。天にも昇る想いの寅さんだったが、心配したさくらが満男を同伴させて…

あにいもうと

あに
いもうと

かがりにデートを申し込まれた寅さん、心配になったさくらは、満男をお供につけるが・・・

人々

人々

  • 木崎湖畔で寅さんの手紙を代筆する画家/田口精一
  • 人間国宝 加納作次郎/片岡仁左衛門
  • 作次郎宅で働く かがり/いしだあゆみ
  • 作次郎宅で働く おばあさん/岡島艶子
  • 作次郎の弟子 近藤/柄本明
  • かつての弟子 蒲原/津嘉山正種
  • かがりの母/杉山とく子、その娘 和代

寅さんの
啖呵売

啖呵売

さあ、葵見物のお客さん、これはね、お年寄りには何よりのお土産ですよ、どう、ほら、おじいちゃんの壊れちゃったメガネ。ね、それからおばあちゃんの茶碗、何だって、ピッタリとくっつく万能の接着剤だ、ねっどう、ほら・・・(京都市・加茂川河畔・万能接着剤ピッタンコ)

売ネタ

  • 万能接着剤・ピッタンコ(京都市・加茂川河畔)
  • 会津桐の下駄(京都市)
  • 瀬戸物(滋賀県彦根市・彦根城)

  • 備後屋・御前様「草津節」
  • BGM「祇園小唄」

ロケーション

  • 長野県 大町市 木崎湖畔/後立山を望む風景、木崎湖畔に佇む寅さん(タイトルバック)
  • 長野県 北安曇郡 白馬村 大出吊り橋(タイトルバック)
  • 京都市 左京区 下鴨宮河町 下鴨神社/葵祭で寅さんがピッタリコンの啖呵売
  • 鴨川のそば/寅さんが作次郎の鼻緒を直してあげる
  • 京都市 北区 上賀茂 御薗口町 神馬堂/寅さんと作次郎、名物の焼餅を食べる
  • 京都市 東山区 五条坂 鐘鋳町/加納作次郎宅に、寅さん宿泊する
  • 京都府 与謝郡 伊根町/寅さんかがりを訪ねる
  • 神奈川県 鎌倉市 極楽寺 成就院(あじさい寺)/寅さんとかがり、デートをする
  • 神奈川県 鎌倉市 七里が浜沿いのレストラン/寅さん・満男・かがり食事をする
  • 神奈川県 藤沢市 江ノ島 江ノ島神社参道/三人が歩く
  • 神奈川県 藤沢市 江ノ島 江ノ島亭/寅さんとかがり、夕日を浴びながら会話
  • 滋賀県 彦根市 金亀町 彦根城近く 埋木舎のそば/作次郎と寅さん再会
丹後伊根

京都府 丹後伊根

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京都府 丹後伊根

丹後伊根 基本情報

丹後半島(たんごはんとう)は、京都府北部の日本海に北東に突き出た半島。与謝半島(よさはんとう)、奥丹後半島(おくたんごはんとう)、旧称の由良半島(ゆらはんとう)ともいう。海岸など一部は、丹後天橋立大江山国定公園に含まれる。

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京都府 丹後伊根

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京都

京都府 京都

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京都府 京都

京都 基本情報

京都府の南部に位置する内陸都市で、市内を賀茂川(途中で高野川と合流し、鴨川と名前を変える)、桂川、宇治川などが流れる。
四条河原町(四条通と河原町通の交差点付近)は京都で最大の繁華街である。

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第29作
京都府 京都

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彦根

滋賀県 彦根

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滋賀県 彦根

彦根 基本情報

彦根市(ひこねし)は、滋賀県の北東部に所在する市である。 滋賀県北部、東部の中心となる都市である。
旧坂田郡鳥居本村(cf. 鳥居本宿、鳥居本駅)と旧愛知郡稲枝町(cf. 稲枝駅)を除き、かつては犬上郡に属していた。

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第29作
滋賀県 彦根

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あの頃

食べ物

やきもち

作次郎と寅さんが京都上賀茂名物・やきもちを食べる。上賀茂神社近くで、明治五年開業の老舗“神馬堂”。やきもちは、粒あんを餅で包んで、鉄板で焼いたもので、正式には葵餅という。

モノ

ヨモギ

柴又名物草団子は、ヨモギを餅に練り込み独特の緑色を出す。ヨモギはキク科の多年草で餅草とも呼ばれる。さくらとおばちゃんが、江戸川堤でヨモギを積んでくるところから、今回の物語が始まる。さくらが「もうこっち岸には生えていないから、渡し船で千葉県まで行ってきたのよ」というように、かつては自生していたヨモギが取れなくなりつつあった。

ファッション

作務衣

作次郎の弟子、近藤(柄本明)のことを、寅さんは気安く「コンちゃん」と呼び、酒に誘ったりする。近藤が着ている作務衣(さむえ)は、もともと禅宗の僧侶が、作務=労働をするときに着る作業着だった。現在定着している作務衣のスタイルは、1960年代に永平寺で用いられたものがベースとなり、80年代に庶民にも普及した。

主な出来事

8月17日
フィリップスが世界初のCDを製造。
9月2日
国鉄のリニアモーターカーが世界初の有人浮上走行実験に成功。
9月14日
グレース・ケリー(モナコ公国大公妃、女優)、自動車事故にて死去。

データ

封切り日
昭和57年8月7日
観客動員数
1,393,000人
入場料
1,500円
上映時間
110分
受賞歴
第25回ブルーリボン賞・最優秀映画賞(1982年)
同・主演男優賞/渥美清(同)
同・助演男優賞/柄本明(同)
第7回報知映画賞・最優秀助演男優賞/柄本明(同)
併映作品
『えきすとら』
監督:朝間義隆 出演:武田鉄矢、石田えり、乙羽信子、鈴木ヒロミツ、田中邦衛
スタッフ
監督 : 山田洋次 脚本 : 山田洋次 朝間義隆
原作 : 山田洋次
撮影 : 高羽哲夫
音楽 : 山本直純
美術 : 出川三男

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