男はつらいよ

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男はつらいよ 寅次郎サラダ記念日
スタッフ

第40作 (昭和63年12月 公開)
男はつらいよ 寅次郎サラダ記念日

信州小諸、駅前で知り合ったお婆さん(鈴木光枝)の家に泊まり、昔語りを聞く寅さん。翌朝、医師・原田真知子(三田佳子)が、お婆さんを病院に入院させるためにやってくる。重病のお婆さんは、寅さんの説得でなんとか入院し、真知子は寅さんを御礼にと家に招待する。くるまやに帰った寅さんは、満男の大学受験の下見ということで、真知子の姪・由紀(三田寛子)を早稲田大学に訪ねる。さらに真知子も息子に会うために東京へ。寅さんにとって幸福な日々となる。
 俵万智のベストセラー短歌集「サラダ記念日」を原作にした、短歌文学の香り豊かな作品。三田寛子扮する由紀が短歌に凝っているという設定で、随所に俵万智の句が引用される。寅さんが夢中になる女医に三田佳子。ドラマで医者の役が多かった三田のイメージをうまく使いつつ、いのちの現場で死と向き合うヒロインと、出会った人を幸福な気持ちにさせる寅さんの心の交流を描いている。由紀のボーイフレンドの大学生に尾美としのり。本作より、屋号が「くるま菓子舗」と改められた。

原田真知子

原田真知子

人生の最期を
どう迎えるかを選ぶのは、
その人の権利
じゃないでしょうか?

マドンナ

原田真知子

原田真知子(三田佳子)

小諸病院に勤務する女医。夫が山で遭難、一人息子を東京の母(奈良岡朋子)へ預けて、一人暮らし。命の現場の最前線でストレスがたまる日々を過ごしているとき、患者のおばあちゃん(鈴木光枝)宅に泊まっていた寅さんと知り合う。

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原田真知子 第40作 三田佳子

1960年、東映に入社。同年『殺られてたまるか』でデビューを果たし、東映の看板女優として活躍。渥美清とは1963年の『おかしな奴』で共演している。67年にフリーとなり、テレビ、映画、舞台、CMに活躍。1984年の『Wの悲劇』の演技が高く評価され、NHK大河ドラマ「いのち」(86年)とNTV「外科医・有森冴子」(1990〜2000年)で演じた女医役などでお茶の間に親しまれた。

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ゲスト

由紀

由紀(三田寛子)

寅さんが早稲田の杜にあらわれて やさしくなった午後の教室

早稲田大学に通う、真知子の姪。小諸の真知子宅に遊びに来ていたところを寅さんと出会う。感性豊かな女子大生で、“とれたての短歌”を書きためている。ひょんなことから出会った同学の尾崎茂と交際を始める。

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由紀 第40作 三田寛子

1981年、TBSのドラマ「2年B組仙八先生」の生徒役でデビューを果たし、82年「駈けて来た処女(おとめ)」でレコードデビューを果たし、トップアイドルに。CMソングで使われた「初恋」が大ヒット。テレビバラエティ、ドラマで活躍。映画は『みゆき』(83年)、『Let’s豪徳寺』(87年)などに出演。1991年、山田洋次監督の『ダウンタウンヒーローズ』(87年)にも主演した歌舞伎俳優・三代目中村橋之助と結婚。梨園の妻として夫を支えている。

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尾崎茂

尾崎茂(尾美としのり)

僕金町なんですよ。昨日由紀ちゃんに会ったら、柴又行くって言うんでじゃ、僕が案内しようって事で・・・

早稲田大学文学部ロシア語学科在籍。ある日、キャンバスで寅さんから、由紀探しをたのまれ、学籍簿などをあたって、ようやく判明。それがきっかけで、由紀と交際。金町に住んでおり、真知子、由紀とともにとらやを訪ねる。車の運転が得意と言っているが・・・

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尾崎茂 第40作 尾美としのり

少年時代から子役として活躍。1978年、市川崑監督の『火の鳥』でデビューを果たし、1982年、大林宣彦監督の『転校生』の主役を演じ、フレッシュな演技は高い評価を受けた。『釣りバカ日誌4』(91年)では朴訥とした青年を演じ、テレビ時代劇「鬼平犯科帖」(CX・89〜2007年)の木村忠吾役は当り役の一つ。山田洋次作品には『ダウンタウンヒーローズ』(87年)、『たそがれ清兵衛』(02年)に出演。

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おばあちゃん

おばあちゃん(鈴木光枝)

寅さん・・・あの先生もな。旦那さんと死に別れて寂しく暮らしてるだ。あんた慰めてあげてくれや、おらにしてくれたようにな・・・

寅さんが小諸駅前のバス停で出会うおばあちゃん。夫に先立たれ、独りぐらしをしているが、重い病気にかかっており、小諸病院の真知子が再三入院を進めている。思い出のつまった我が家を終の住処と思うおばあちゃんは、なかなか、入院を承知しなかったが・・・

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おばあちゃん 第40作 鈴木光枝

戦前から活躍したベテラン女優。初舞台は1932年、1942年に劇団文化座を夫となる佐佐木隆、山村総らと創設。佐佐木の没後は、自らが劇団文化座の代表として、「荷車の歌」「おりき」「三婆」などの舞台、数々の映画、テレビドラマで活躍。2007年没。

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男はつらいよ 寅次郎サラダ記念日

今回の寅さん

寅さん
名ゼリフ

満男「じゃ、何のために勉強するのかな?」
寅「え、そう言う難しい事は聞くなって言ったろう。
つまり、あれだよ、ほら
人間長い間生きてりゃいろんな事にぶつかるだろう。
な、そんな時オレみてえに勉強してない奴は、
この振ったサイコロの出た目で決めるとか
その時の気分で決めるよりしょうがないな、

ところが、勉強した奴は自分の頭で、
キチンと筋道を立てて、
はて、こういう時はどうしたらいいかなと
考える事が出来るんだ。
だからみんな大学行くんじゃないか、
そうだろう。」

車一家登場人物の一言

  • 諏訪さくら
    諏訪さくら
    (お店を手伝うことを)あたしはそれほど苦にしてないのよ。この家で育ったんだもの。むしろ申し分けないと思ってるわよ。だって本当は、この店の後継者は・・・
  • 車竜造
    車竜造
    お前みたいな体の丈夫なやつにはな、年取るとどんなにつらいか分からないんだ
  • 車つね
    車つね
    (社長に)あんたがしっかり儲けて、博さんに高い月給払ってくんないからだよ!
  • 桂梅太郎
    桂梅太郎
    労働者にな、資本家の悩みが、分かってたまるかってんだよ
  • 諏訪博
    諏訪博
    しかし、兄さんにはあるかも知れないぞ、普通の人にはおこり得ない事が
  • 諏訪満男
    諏訪満男
    いいなあ、おじさんは・・・大学落ちたらおじさんの弟子になるか
夢

本作品にはなし

騒動

騒動

10円玉騒動

由紀から真知子先生の電話番号を聞いた寅さん、なんとしてでも電話がかけたい。店からではきまりが悪いので、さくらから小銭を拝借して赤電話へと思ったが…

あにいもうと

あに
いもうと

大学受験を控えた満男、大学落ちたら「伯父さんの弟子になるか」とのんきな事を言っている。母親としては、兄のようになって欲しくないという思いで、いっぱいのようだが…

人々

人々

  • 泥棒/笹野高史(寅さんの品物を履いて逃げる)
  • 寅さんが小諸駅前で知り合う、おばあちゃん・鈴木光枝/鈴木光枝
  • 小諸病院・原田真知子/三田佳子
  • 真知子の姪・由紀/三田寛子
  • 早稲田大学の学生、尾崎茂/尾美としのり
  • 早稲田大学教授、富永教授/三國一郎
  • 真知子の母・八重子/奈良岡朋子
  • 小諸病院院長/すまけい

寅さんの
啖呵売

啖呵売

さあ、もう、ヤケだ、ね。ヤケのヤンパチ日焼けのなすび、色が黒くて食いつきたいが わたしゃ入れ歯で歯が立たないよ、ときた!」 ポンシュウ「今日は特別学生さんには大割引ね、はい、手にとって見て東京の学生さんみんなこれ背負ってんだ、はい、カラッテごらん、あーらいいね。(島原城天守閣下・スポーツバッグ)

売ネタ

  • スポーツシューズ(長野県小諸市・大浅間火煙太鼓)
  • デイバック(ポンシュウと、長崎県島原市・島原城)

  • 寅さん「草津節」
  • 寅さん「佐渡おけさ」
  • 寅さん「都の西北」
  • <挿入歌> サザンオールスターズ「ステレオ太陽族」

ロケーション

  • JR小海線 小海駅/旧国鉄キハ 58系が、信州を走っている。千曲川を渡り、小海駅へと列車は向かう
  • 長野県 小諸市/小諸城、懐古園、健速神社・祇園祭、こもろ市民まつり(タイトルバック)
  • 長野県 小諸市 健速神社そば/寅さん、ポンシュウと共にスニーカー、スポーツウェアを啖呵売
  • 長野県 小諸市 JR小諸駅前/寅さんがおばあちゃん(鈴木光枝)と出会う
  • 長野県 小諸市 小諸病院/寅さんがおばあちゃんに付き添って、真知子(三田佳子)の車でやってくる
  • 東京都 新宿区 早稲田大学/寅さんが由紀を訪ねる
  • 長崎県 島原市 島原城/寅さんがディパックのバイをしている
小諸

長野県 小諸

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長野県 小諸

小諸 基本情報

小諸市(こもろし)は、長野県東部に位置する市。小諸藩の城下町であった。

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第40作
長野県 小諸

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島原

長崎県 島原

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長崎県 島原

島原 基本情報

島原市(しまばらし)は、長崎県南東部の島原半島にある市。島原半島の中心都市。島原城や武家屋敷など旧城下町の街並みが残り、市内に湧水群のある観光都市である。有明海(島原湾)を介して、フェリーや高速船で結ばれている対岸の熊本県熊本市や福岡県大牟田市などとの関係も深い。旧南高来郡。

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第40作
長崎県 島原

ラストシーン。寅さんがデイバッグを売している場所。ここでオープニングの泥棒と出くわす。

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あの頃

食べ物

サラダ

『寅さんが「この味いいね」と言ったから 師走六日はサラダ記念日』。俵万智のベストセラー「サラダ記念日」をモチーフにした本作。由紀が詠む句は、俵万智の歌集からの引用を中心となる。去り際に、由紀が作ったサラダをおいしそうに、一口食べる寅さん。その時の由紀の心象が、タイトルの「サラダ記念日」となる。

モノ

デイパック

寅さんが長崎県島原城で、ポンシュウと啖呵売しているのはデイパック。背中に背負う、登山、軍事用のリュックサック(ドイツ語)の一つで、重装備のバックパックに対して、日帰りハイキングのため一日用の荷物を入れるためのものをデイパック=Daypackと呼ぶ。

ファッション

スポーツ・シューズ

寅さんが長野県小諸市の大浅間火煙太鼓の縁日で啖呵売しているスポーツ・シューズ。ロス五輪で活躍した陸上選手・フローレンス・ジョイナー愛用と大げさなコピーが寅さんらしい。もともと、陸上用のスポーツシューズが、都会の若者たちに定着、テニスシューズやバスケットシューズなど、競技用のブランド品が、80年代に若者たちのファッションとなった。

主な出来事

12月9日
宮澤蔵相がリクルート疑惑で辞任。
12月21日
パンアメリカン航空103便爆破事件。
12月24日
消費税の導入を柱とした税制改革6法案が成立。
12月27日
竹下改造内閣発足。

データ

封切り日
昭和63年12月24日
観客動員数
1,822,000人
入場料
1,500円
上映時間
100分
受賞歴
第13回日本アカデミー賞・優秀主演女優賞/三田佳子(1990年)
併映作品
『釣りバカ日誌』
監督:栗山富夫 出演:西田敏行、石田えり、三國連太郎、谷啓、アパッチけん
スタッフ
監督 : 山田洋次 脚本 : 山田洋次 朝間義隆
原作 : 山田洋次 俵万智
撮影 : 高羽哲夫
音楽 : 山本直純
美術 : 出川三男

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