男はつらいよ

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男はつらいよ 純情篇
スタッフ

第6作 (昭和46年1月 公開)
男はつらいよ 純情篇

赤ちゃんを連れた若い女・絹代(宮本信子)に、さくらの面影を見て、一夜の宿を世話する寅さん。情にほだされ、寅さんは絹代と共に、彼女の父・千造(森繁久彌)の住む、五島列島の福江島へ。望郷の念にかられた寅さんが柴又へ帰ると、つねの遠縁にあたる、美しき人妻・明石夕子(若尾文子)が、夫と別居して二階に間借りをしていた…
 寅さんが美人の人妻に一目惚れをしてしまう。大映のトップスターとして活躍した女優・若尾文子、日本映画界を代表する名優・森繁久彌などベテランと、渥美清の競演は圧巻。妹さくらへの想い溢れる前半の描写が、ラスト近くの柴又駅でのさくらと寅さんの別れの場面の伏線となり、シリーズ屈指の名シーンとなった。後においちゃんを演じる松村達雄が、スケベな医者をコミカルに好演。

明石夕子

明石夕子

でも、寅さんはいいわ。
こんな暖かい家があるし、
いい妹さんが
いらっしゃるんですもの、
幸せよ

マドンナ

明石夕子

明石夕子(若尾文子)

つねの遠縁にあたる美人。売れない小説家である夫・明石恭介(垂水吾郎)と別居して、とらやの二階に間借りしている。そこへ帰って来た寅が、一目惚れ。恋の病に伏せっている寅さんの耳元で、夕子がささやいたのがこの台詞。

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明石夕子 第6作 若尾文子

1950年代から大映のトップ女優として活躍。溝口健二監督の『祇園囃子』(53年)、増村保造監督の『妻は告白する』(61年)、川島雄三監督の『しとやかな獣』(62年)などに出演、日本映画黄金時代を代表する女優の一人。

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ゲスト

千造

千造(森繁久彌)

おいの反対ば押し切って一緒になったんなら、そんぐらいの覚悟しとらんでどげんすっか。そんな意気地のないことじゃ父ちゃん心配で死ぬることもできん・・・

五島列島の福江島に住む。寅さんが長崎の港で出会った絹代(宮本信子)の父親。駆け落ちの末、出戻って来た娘を暖かく迎える。そんな二人の姿に、寅さんは故郷への望郷の念が沸いてくる。

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千造 第6作 森繁久彌

NHKアナウンサーとして満州に渡り、戦後は舞台、映画で活躍。東宝「社長」「駅前」両シリーズから、文芸映画、ミュージカル舞台などで幅広い演技を見せた。1970年代、松竹で、森崎東監督の「喜劇・女シリーズ」に主演。軽妙洒脱な演技から、重厚な芝居まで、独特の森繁節は、数々の娯楽映画を支えた。第38作『知床慕情』では、ヒット曲「知床旅情」がフィーチャーされた。

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男はつらいよ 純情篇

今回の寅さん

寅さん
名ゼリフ

寅「いや頭の方じゃ分かっているけどね。
気持ちの方が、そうついてきちゃくれないんだよ、ねえ?
だから、これは俺のせいじゃねえよ」
さくら「だって、その気持ちだって
お兄ちゃんのものでしょう?」
寅「いや、そこが違うんだよ、早え話がだよ
俺はもう二度とこの柴又へもどってこねえと
そう思ってもだ、な、
気持ちの方は
そう考えちゃくれねぇんだよ、
アッと思うとまたオレはここへもどってきちゃうんだよ、
本当に困った話だよ」

車一家登場人物の一言

  • 諏訪さくら
    諏訪さくら
    あのね、お兄ちゃん、辛い事があったら、いつでも帰っておいでね
  • 車竜造
    車竜造
    見損なっちゃいけねえよ。俺の親戚が寅みてえな奴ばっかりだと思われちゃ・・・
  • 車つね
    車つね
    あのね、この人はね、私の従姉の嫁入った先の主人の姪の夕子さん
  • 桂梅太郎
    桂梅太郎
    今夜、お祝いにパーッといくか! な、そうしよう、パーッと派手にやろう、必要経費でな!
  • 諏訪博
    諏訪博
    人生は賭けだよ、ね、兄さん
夢

本作品にはなし

騒動

騒動

博独立騒動

朝日印刷の要である博が、独立したいと寅さんに相談。それを辞めさせたいとタコ社長は、寅さんに懇願。二人に無責任な返事をした寅さんだったが、それが大騒動の原因となる。

あにいもうと

あに
いもうと

柴又駅の“あにいもうと”の別れ。初めて寅さんが家出したときも、さくらが見送って来た。その時の想い出をホームで話す二人。「いつでも帰っておいでね」と優しいさくらは、寅さんの首にマフラーを巻いてあげる。寅さんの「故郷ってやつはよ・・・」という言葉が、電車の音にかき消される・・・

人々

人々

  • 千造/森繁久彌、絹代/宮本信子(父娘。福江島で釣宿を営む父と、その反対を押し切って結婚した娘。)
  • 山下医師/松村達雄(柴又で内科小児科を開業している。)
  • 明石夕子/若尾文子、明石/垂水悟郎(つねの遠縁にあたる小説家夫婦。)
  • 朝日印刷社長・桂梅太郎の妻/水木涼子

寅さんの
啖呵売

啖呵売

結構毛だらけ猫灰だらけ、お尻のまわりはクソだらけってね。タコはイボイボにわとりゃハタチ、イモむしゃ十九で嫁に行く、ときた、黒い黒いは、なに見てわかる、色が黒くてもらいてなけりゃ、山のカラスは後家ばかり、ね。色が黒くて食いつきたいが、あたしゃ入れ歯で歯が立たないよときやがった、どう、まかった数字がこれだけ、どう、ひとこえ千円といきたいが、ダメか、八百、六百、よし、腹切ったつもりで五百両、もってけ、オイ!(東京都葛飾区柴又の縁日・瀬戸物)

売ネタ

  • 瀬戸物(東京都葛飾区柴又の縁日)
  • 縁起物の鶴と亀(静岡県浜松市・浜名湖)

  • 寅「ふるさと」
  • 寅「圭子の夢は夜ひらく」
  • 博「木曽節」
  • 竜造「草津節」

ロケーション

  • 夜汽車の中/寅さんが赤ん坊をあやす。
  • 山口県 港の側のそば屋/寅さんがテレビ「ふるさとの川江戸川」を観て、望郷の念にかられる。
  • 長崎県 長崎市 長崎港 大波止/五島行きの最終が出た後、寅さんは、ここで泊まるか迷っている。そこで子連れの絹代と出会う。
  • 長崎県 長崎市 旅館丸重/寅さんと絹代、宿泊。
  • 長崎県 福江市(現・五島市)、五島列島 福江島/絹代の実家の中村旅館を訪ねる。
  • 静岡県 浜名湖/幸福の鶴亀の啖呵売をする。
五島列島(福江島)

長崎県 五島列島(福江島)

日本地図
長崎県 五島列島(福江島)

五島列島(福江島) 基本情報

福江島(ふくえじま)は、長崎県西方沖の五島列島を構成する島の一つである。行政区分は長崎県五島市に属する。南に離れた男女群島を除けば五島列島の南西端に 位置する。島の面積326.43km²は五島列島最大、日本国内では11番目の面積を 持っている。 2010年国勢調査では、人口36,979人となっている。2004年以前は、福江市の一 部と、南松浦郡の富江町・玉之浦町・三井楽町・岐宿町の計1市4町に分かれてい たが、2004年8月1日の市町村合併により全域が五島市の一部となった。

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第6作
長崎県 五島列島(福江島)

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近隣のロケ地
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あの頃

食べ物

水烏賊の刺身

長崎県玉之浦にある絹代の実家は、船宿・中村旅館を営んでいる。絹代を送ってきた寅に、千造が心ばかりのもてなしで、造ろうとするのが水烏賊の刺身。アオリ烏賊のことを長崎では水烏賊と呼んでいる。現在では高級な刺身

モノ

缶ビール

冒頭、夜汽車のなかで寅さんが飲む缶ビール。当時、三船敏郎が「男は黙って・・・」とのキャッチコピーのCMが一世を風靡。寅さんが空けて、泡を吹き飛ばすのは三船CMを意識してのことか。

ファッション

テレビ番組への出演

とらや一家がテレビ「ふるさとの川江戸川」なる紀行番組に出演。その時、さくらが着ていたのは、普段着のセーター。神妙な顔で団子をこねるおいちやんの姿が映し出される。

主な出来事

1月
世界経済フォーラム設立。総会をスイス・ダボスで開催、以後「ダボス会議」の名で呼ばれる。
1月15日
アスワンダムの公式開通
1月24日
三島由紀夫の本葬が東京の築地本願寺で行われる。
1月24日
GSザ・タイガース、日本武道館において解散コンサート
1月24日
横綱・大鵬が初場所千秋楽で32回目にして最後の優勝

データ

封切り日
昭和46年1月15日
観客動員数
852,000人
入場料
600円
上映時間
89分
受賞歴
第26回毎日映画コンクール・監督賞/山田洋次(1971年)
第22回芸術選奨・文部大臣賞/渥美清(同)
併映作品
『やるぞみておれ為五郎』
監督:野村芳太郎 出演:ハナ肇、光本幸子、緑魔子、谷啓、伴淳三郎、財津一郎
スタッフ
監督 : 山田洋次 脚本 : 山田洋次 宮崎晃
原作 : 山田洋次
撮影 : 高羽哲夫
音楽 : 山本直純
美術 : 佐藤公信

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第6作 男はつらいよ 純情篇